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Manuscript -2021-

Project |01

 

Association between Vitamin D and Heart Failure Mortality in 10,974 Hospitalized Individuals. Nutrients 2021, 13(2), 335

 日本循環器学会が主導で収集し,利用を促しているJ-ROADデータベースですが,2017年度の日本循環器学会(2018年3月)で聴講したセッションで面白そうなデータで使ってみたいな,と思ったことがきっかけです.2019年から借りる予定がデータベースの整理や徳島大学でデータ解析するための体制づくり,手続きなどに想像以上に時間がかかり,実質解析スタートできたのが2020年3月頃.1年延長申請し,ようやく一本目として出版できた論文になります.

 ビタミンDは新型コロナの重症化を防ぐなんていう研究が出るような古くて新しいビタミンの一種ですが,心不全にも以前から有効と言われているけど,証明されていない状況でした.今回,重症心不全患者を含んだコホートでは,心不全入院中の死亡を減らせる可能性が示唆されました.

 投稿先の選定時に「日本心臓リハビリテーション学会」のホームページに「国際交流委員長福本義弘先生がeditorを務め募集している」旨の情報があったので,投稿してみたという流れです.MDPIは最近,日本の学会長などがeditorをして募集するという流れがあるような気がします.

Project |02

 

Deep Learning for Detection of Elevated Pulmonary Artery Wedge Pressure using Standard Chest X-Ray. Canadian Journal of Cardiology. 2021, doi: https://doi.org/10.1016/j.cjca.2021.02.007.

 AIを用いて胸部X線写真を解析することで,心不全が検出できないか検討した研究です.帝京大学との共同研究第二弾で,こちらのほうが昨年のAI×肺高血圧よりgeneralな疾患を扱っているのでより臨床応用しやすいと考えています.

 白眉だったのは査読の過程でBNPや心エコー指標と診断能を比較した点です.従来の指標に追加することで診断能が上昇,すなわち既存の診断ツールにAIを使うことで新たな意味を付与することができたことは,今後のAIと医療の関係について,示唆ができたのではと思います.JACCやCircを渡り歩いてなかなかacceptされませんでしたが最終,Canadian Journal of Cardiologyに落ち着けて良かったです.

 社会実装ができればいいのですが…

Project |03

 

Cardiac reserve by 6-minute walk stress echocardiography in systemic sclerosis. Open Heart. 2021;8:e001559.

 膠原病,特に強皮症は肺高血圧を合併すると予後が悪いことが知られていますが,その原因は「肺動脈性」と「左心不全」があります.この二つを見分けることは難しいのですが,我々は6分間運動負荷心エコー図検査を用い,運動負荷後に左房圧が上昇しやすい症例の予後が悪いことを示しました.本研究により強皮症における左心不全ルールアウトの重要性が示されたと思います.

 Heart本誌からOpen Heartへの転送をrecommendされ,学位の絡みもありましたので承諾し,査読を経て掲載に至りました.Open Heartは統計レビューもついてくれるので,本誌並のクオリティの論文が今後も掲載されていくのでは,impact factorの上昇も期待されるなと感じます.

 6分間歩行関連研究はこれで一区切りになります.今後は今までの研究をベースとして,多施設共同研究とかにつなげていきたいところです.

Project |04

 

Left Atrial Strain Associated with Functional Recovery in Patients Receiving Optimal Treatment for Heart Failure. J Am Soc Echocardiogr. 2021 Apr 11;S0894-7317(21)00187-5.

 2021年3月にupdateした心不全ガイドラインでも取り上げられた「経時的にLVEFが改善するHFrecEF」群にフォーカスを絞り,LVEFの改善と左房ストレインとの関連をみた研究ですが,久々のJASE誌掲載です.筆頭著者の鳥居くんはJASEが2作目ということで,持ってるな~と思います.
 個人的な左房ストレインへの思い入れは結構あって,丁度10年前の米国留学時の最初の論文も左房ストレインと運動耐容能の相関をみた研究でしたし,アメリカ心エコー図学会のYIAに2年連続出場した時の研究も両方とも左房ストレインを使った研究でした.あの頃から10年経過しましたが,左房機能はさらに注目されてきている気がします.

 ちなみにこの研究,Circ Imagingのletterにinviteされたのに,short letterにして再投稿したら「Nが少ない」と一蹴されたりしています.「Nが少ないで落とすならletterにinviteするなよ…」と思ったものですが,結果的にはエコー業界の一流紙に掲載されて良かったです.

Project |05

 

Acute Hospital Mortality of Venous Thromboembolism in Patients With Cancer From Registry Data. J Am Soc Echocardiogr. J Am Heart Assoc. 2021 Jun;10(11):e019373.

 Vitamin D研究と同様に,J-ROAD DPCを用いた研究で,こちらが最初に立案した研究になります.

 2018年度に書類を提出,2019年度に使えるはずだったのに種々の手続きにより承認が遅れに遅れ,結局2020年度直前の2020年2月頃から本格的に解析をスタートしました.しかしデータベースから必要なものを出してくるのにもイチイチ手間がかかるため,なかなか最終コホートも決定できず…相当に産みの苦しみがあった研究になりました.

 JACC oncology → JAHAでacceptになったので,スムーズなはずなんですが,査読・リバイスの度に結構待たされ(数カ月),2021年度に入ってようやくまとまりました.癌と深部静脈血栓症の予後における関係性を記述しており,J-ROADでまず示したかった結果です.Onco-cardiologyのキーペーパーになります様に.

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