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Manuscript -2020-2-

Project |01

 

What is a better measure of regurgitant severity in secondary mitral regurgitation by echocardiography? Heart. 2020 DOI; 10.1136/heartjnl-2020-316846

 2020年1月よりHeartのInternational Editorial Boardに入ってから査読はちょくちょく来るようになっていました.私は他にもCirc Imaging等のBoard Memberなのですが,個人宛にEditorialの依頼が来たのは初でした(今までは上司の指示で書いた機会があるくらいです).

 私のEditorialに対する印象は「かなり敷居が高い」イメージです.某知り合いの先生と話した時に聞いたのですが,「某有名誌のEditorialを依頼されて書いたけど,結構キツ目の修正案を提示され,Section Editorの先生に相当お世話になった」ということでした.え,この先生のレベルでもそんなことがあるのか,と驚いたことを覚えています.今回はある意味試されているという気持ちで,気合を入れて臨みました.

 執筆時は,まだCOVID-19の話題も殆ど無い頃でした.2次性MRに対するclip術についての2本の大規模研究の話題についての議論が多く行われていましたし,今年のJACC imagingのspecial issueでも2次性MRが取り上げられる予定など,この話題がタイムリートピックだったのは間違いありません.自分の知識を確認する意味でも,とても良い機会だったと思います.

 何とか「良いEditorial」と評価されるようなものを作っていきたいと願いつつ.

Project |02

 

Clinical Application of Stress Echocardiography in Management of Heart Failure HF Clinics. 2020 https://doi.org/10.1016/j.hfc.2020.02.001

 以前から学会でお見掛けしていた稗田 道成先生がテキサス大学に留学中,HF clinicsという本のEditorを上司からの指示もあり務められたのですが,私にAHAでお会いした時に「大御所がexercise echoの総説を断ってきたので,代わりに書いてくれる人を探している」とのことでした.以前からpreload stressをはじめとする負荷エコーを心不全に用いた研究をしていたこともあり,快諾しました.

​ 急遽の依頼であり〆切まで2カ月弱でしたが,温めていた内容でもありましたので楽しく書かせてもらいました.少し新しいことを書きすぎたか…とも思う内容ですが,心不全に対する新しいアプローチとしての負荷エコーの可能性を,原著論文でも証明していきたいと思います.

​ 本になるそうなので,記念にAmazon.comで購入しようかなと思っています(笑).

Project |03

 

Radiomics in Echocardiography: Deep Learning and Echocardiographic Analysis. Curr Cardiol Rep. 2020 Jul 9;22(9):89. doi: 10.1007/s11886-020-01348-4.

 AI×Echoの総説を書く機会があり,魅力的なタイトルを考えていたところ,医用画像を用いたAIによる臨床予後・病期・病理予測の分野が"Radiomics"と呼ばれていることを知りました.この観点に立つと心エコー画像におけるAI応用も"Radiomics"の範疇と考えることができると考え,「Radiomics in Echocardiography」というタイトルを付けています.当初は「Echo-Radiomics」という表現を使っていたのですが,査読の段階で「一般的な表現に変えてください」というアドバイスで,こちらになりました.「Radiomics in Echocardiography」という表現も検索でも出てこないことから,最初に表現できたかなと思っています.
 掲載のCurrent Cardiology Reports誌はCleveland Clinicのトップを務めたDr. Steven Nissenがeditor in chiefで,恐らく留学繋がりの総説執筆依頼と思います.留学経験ありがたや.

Project |04

 

Association between Sarcopenia/Lower Muscle Mass and Short-Term Regression of Deep Vein Thrombosis Using Direct Oral Anticoagulants. Int Heart J. 2020 Jul 30;61(4):787-794. 

 DOAC全盛期にDVTのペーパーをという考えから,当時流行り始めたフレイル・サルコペニアと絡めた内容となっています.当初は血栓のIB値と呼ばれるエコーの輝度をあらわす数字がDOACの効果を最も予測すると考えて進めていましたが,結果は筋肉の厚みが退縮の最も強い因子となりました.下肢の筋力は薬の効果にとても影響するという,臨床的に考えてとても納得のいく結果になったことが印象的です.
 掲載のInternational Heart Journalは東大循環器の雑誌で,impact factorも付与されている国際誌です.徳島大学医学部にも学内誌 The Journal of Medical Investigationがあります.こちらもimpact factor付き雑誌だったりして,何かの時に考える投稿先です.私の留学先だったCleveland Clinicも雑誌を持っているし,Mayo Clinicも有名な雑誌を持っています.そのような雑誌のImpact factorを眺めてみるのも一興です(学者の遊び).

Project |05

 

Identifying the extent of oral fluid droplets on echocardiographic machine consoles in COVID-19 era. J Echocardiogr. 2020 Dec;18(4):268-270. 

 循環器内科学の心エコー図グループには毎年,研究室配属の立場で医学部3年生が研究を学びに来ています.今年は新型コロナもあり,学内の立ち入りが制限され,多くはオンラインでの研究進行を余儀なくされました.そんな中,コロナ関連の研究ができないかと思い立ち,「エコー機器の前で喋ったら,飛沫が思ったよりも飛ぶんじゃないの?」という,夏休みの自由研究系発想ではじめた研究を形にしたresearch letterになります.

​ 英語と日本語を比較したり,実際英語で「息を吸って,はいて,止めてください」ってなんて言うの? とかを調査し,形にしました.普通に色々なところに投稿して,いずれもrejectだったのですが,日本心エコー図学会誌に拾っていただき,日の目を見ることができました.学生さんもブラックライトについて調べてくれたり,ビタミン製剤で光ることを調べてくれたりと,良い働きでした.彼にとって成功体験の一つになったと信じつつ…

Project |06

 

Steps to use artificial intelligence in echocardiography. J Echocardiogr. 2020 Oct 12:1-7. doi: 10.1007/s12574-020-00496-4. 

 Journal of echocardiographyからreviewの依頼が9月1日付であり,まとめたものになります.頭の中に構想はあり英文化しようかなと思っていた内容であったので,比較的早くまとめることができました.9月14日に投稿し,査読を経て10月2日にacceptされました.依頼から1カ月でacceptまで持っていけたので,依頼に答えられたのではないかと思っています.

 エコー領域における人工知能応用は大きく二つ,自動診断と医学的発見の二つに大きく分かれると考えています.自動診断についてはすでに多くの報告が出そろってきていますが,医学的発見についてはこれからの分野ですし,我々もそのロードを突き進んでいきたいと思います.

Project |07

 

Deep learning to predict elevated pulmonary artery pressure in patients with suspected pulmonary hypertension using standard chest X ray. Sci Rep. 2020 Nov 17;10(1):19311. 

 以前より,「シンプルで簡便な検査にAIを用いることで新たな知見を発見し,その検査法に新たな価値をつけていく」,という方向の研究に興味がありました.心電図で心房細動を予測,みたいな話ですね.このアイデアから,胸部X-rayから肺高血圧が予測できないか,との考えのもと,2018年の年末からデータ収集を開始していた本研究が,ようやく論文化の日の目を見ました.
 掲載のScientific ReportsはNatureの姉妹紙とうい名の代表的なOpen Access Journalです.Reviewが緩いということは全くなく,内容について3カ月にわたり相当の修正を強いられましたが,そのおかげで完成度は高いものになったと思います.まだまだ査読の過程で教わることは多いなぁ,と思った研究になりました.

 本研究は大学広報を介して,徳島新聞にメディア露出も果たすことができました.今後も一般の方にも興味を持ってもらえるような研究も続けていきたいですね.

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