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Manuscript -2021-2-

Project |06

 

Predictive value of left atrial function for latent paroxysmal atrial fibrillation as the cause of embolic stroke of undetermined source. J Cardiol. 2021 Jun 9:S0914-5087(21)00129-5.

 元々,当院のstroke care unitはシステム化されたデータベースがあり,脳梗塞疑いできた入院患者全例でBNPを計測するということをやっていました.こちらのデータをまとめるという話があったのですが,すでにBNPと心原性脳塞栓症の関連はいくつも論文が出ていたため,「塞栓源不明の症例(ESUS)」にフォーカスを当てて,左房ストレインを計測することでoccultな心房細動を検出できるかどうかを検討した論文です.

 立案したのが2019年,2020年4月頃にデータベースを貰い行き,2020年夏に修士の大学院生にストレイン計測をしてもらい,まとめたのが秋~くらいだったわけですが,2020-2021にかけて「ESUSで左房ストレインを計測した論文」が出るわ出るわ.JASE,Euro imaging,あと不整脈の雑誌にも出てしまい,本研究の新規性は投稿中の間にどんどん低下していきました…

 まあなんとかJCが拾ってくれたので良かったのですが,「同じようなアイデアは不思議と同時期に論文化されていく​」法則にモロはまったなーという感じです.

Project |07

 

Clinical Utility of Overlap Time for Incomplete Relaxation to Predict Cardiac Events in Heart Failure: Incomplete relaxation in heart failure. J Card Fail. 2021 Jun 12:S1071-9164(21)00211-6. 

 そもそものはじまりは2020年のとある薬の研究会で,心拍数を落とすのはどこまで落としたらいいのか,という話からです.E波とA波の重なり具合をみて,そこが離れてたら適切な心拍数だ,ということを論じている研究がFACE BOOKで流れてきて,俄然このE波とA波の重なりについて興味が沸きました.

 しかしよく調べてみても,この重なり具合と心機能の関連を検討した研究はほぼ無く,予後との関連を見た研究も無いため,心不全データベースを使って検討してみようと考えて2020年9月頃にスタートしました.2カ月程でデータ収集完了し,そこから執筆開始・投稿.JASEはかなり興味を持ってくれましたが,基礎的データが不足していたためreject.その後,巡り巡って最終的には米国・日本の心不全学会の機関紙に掲載される運びとなりました.Twitterで宣伝してもらったりしたせいか,いくつか問い合わせを頂いています.この研究から,一つの新たな心機能マーカーとしての役割が出てくればと思います.

Project |08

 

Deep Learning Analysis of Echocardiographic Images to Predict Positive Genotype in Patients With Hypertrophic Cardiomyopathy. Front Cardiovasc Med. 2021 Aug 27;8:669860.

 2019年3月の日本循環器学会でコロンビア大学の島田先生とカフェをした際に,人工知能AIの話題で盛り上がり,ぜひ一緒に研究しましょうとコラボレーションが決まったことがそもそもの始まりでした.

 肥大型心筋症の遺伝子異常を心エコー図画像から検出するという,チャレンジングな仮説を検証した研究ですが,実はこのコンセプトは私がAIに出会った時から温めていたものです.

 というのも,2018年に私がAI研究を開始した当時,既にradiomicsと呼ばれるCT画像から癌の組織型まで予測するという研究が実施されており,その専門家である芳賀先生と話した時から,「これエコーでいけるんじゃね?」と思っていました.まずは実現可能性の高いものからと思い,壁運動異常などエキスパートが判定できる指標からAI研究を実施していましたが,ようやくこの領域までたどり着くことができたな,と感慨深いです.

 ちなみに,査読は結構待たされて,2月投稿で査読返事が返ってきたのが8月と,オンラインジャーナルとは? という感じでした.引き続き本研究のコンセプトを発展させていきたいですね.

Project |09

 

Use of Echocardiography and Heart Failure In-Hospital Mortality from Registry Data in Japan. J. Cardiovasc. Dev. Dis. 2021, 8(10), 124

 日本循環器学会とDPCデータベースを統合したコホートを用いているJ-ROAD研究,全6本の原著論文掲載を目指していますが,その第三弾です.

 心エコー図検査関連の研究も,せっかくなので出せたらという発想から生まれた研究で,「心エコー図検査の実施および実施数が心不全の予後と関連するか」という仮説を検証した論文です.

 すでにカテーテル手術の分野では専門医の存在やその数が院内死亡率と関連するという研究がありましたので,それを背景にしました.

​ 心エコー図検査は検査者の経験にも依存する検査ですので,その技術向上も一つの課題です.症例数が多ければスキル向上も見込まれるため,そういった課題も提起した論文になったのではないでしょうか.

Project |10

 

Effects of canagliflozin on NT‑proBNP
stratified by left ventricular diastolic function
in patients with type 2 diabetes and chronic
heart failure: a sub analysis of the CANDLE trial. 
Cardiovasc Diabetol (2021) 20:186

 佐賀大学が研究代表施設のSGLT2阻害薬のカナグリフロジンを用いたランダム化比較試験「CANDLE trial」のサブ解析(心エコー)執筆を担当させて頂き,結果が本日Cardiovascular Diabetology (IF: 9.951)に掲載されました.IFの高さに目を疑いますが,査読はさくっとでした.
 エコーの計測項目がEF,E波,e'の3つしかないというなかなかの条件下でしたが,「多施設」,「ランダム化比較試験」,「専門家が統計を全部やってくれる」アドバンテージを存分に生かした結果かもしれません.
 個人的には留学中から帰国後まで単施設研究の経験が多いのですが,今回corresponding authorをしてみて,多施設研究は多くの先生の英知を集められることも素晴らしい点だなと感じました.

​ しかし,多施設のサブスタディって棚ぼたですよね,論文執筆の100倍は,その後ろにある症例収集の大変さや,データマネージメントなど,多くの苦労があったはずです.自分でマネージメントすることもあろうかなと思いますので,気を付けていきたいですね.

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